好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「……何でそんな可愛いの、お前。本当、勘弁して。俺をどれだけ振り回したら気が済むの」
桔梗さんが私を再び胸の中に閉じ込めた。私の髪をすきながら撫でる桔梗さんに私の身体もカアッと熱をもつ。
「か、可愛くなんか……!」
思いがけない言葉に私は目を泳がせる。
「可愛いよ、どこにも出したくないくらい。ずっと俺の腕の中にいればいいのに。俺だけを見て過ごせばいいのに」
甘過ぎる言葉に私の心臓が狂ったように暴れだす。
「なあ莉歩、教えて。何で別れるって思ってた?」
ほんの少し声を揺らして桔梗さんが再び尋ねた。
「桔梗さんが、わ、私に覚悟しろって言ったから。私の、恋愛スイッチを入れるからって、だから私が桔梗さんを好きになって恋愛スイッチが入ったら別れるつもりなんだと思って……」
「期間限定の彼女、って?」
淡々と桔梗さんが質問を繰り出す。表情が見えないので桔梗さんが何を考えているのかわからない。
「い、以前桔梗さんが告白されていた女性に彼女をつくる気はないって言ってたから…」
「あーあれか。見てたのか……俺がお前を帰りに追いかけて外に出た日だよな? それであの時、様子がおかしかったのか?」
桔梗さんの言葉に私の顔が真っ赤に染まった。
「そんな可愛い顔をしない」
即座に甘い声で言われる。
「してません! だ、だってその女性にバレンタインデーにチョコを貰ってたじゃないですか! 告白は断ったけど、彼女はいないって言ったって聞きました! だ、だから私は彼女じゃないんだって思って、わ、私だって桔梗さんにチョコ、渡したかったのに!」
話しているうちに気持ちが高ぶって涙が滲む。あの日押し込んだ苦い気持ちが溢れ出す。
「ごめん。そっか、俺が不安にさせてたんだな」
桔梗さんが零れ出した私の涙を唇でそっと掬う。
ドクン、と鼓動が跳ねる。その仕草が優しくて益々涙が止まらない。
桔梗さんが私を再び胸の中に閉じ込めた。私の髪をすきながら撫でる桔梗さんに私の身体もカアッと熱をもつ。
「か、可愛くなんか……!」
思いがけない言葉に私は目を泳がせる。
「可愛いよ、どこにも出したくないくらい。ずっと俺の腕の中にいればいいのに。俺だけを見て過ごせばいいのに」
甘過ぎる言葉に私の心臓が狂ったように暴れだす。
「なあ莉歩、教えて。何で別れるって思ってた?」
ほんの少し声を揺らして桔梗さんが再び尋ねた。
「桔梗さんが、わ、私に覚悟しろって言ったから。私の、恋愛スイッチを入れるからって、だから私が桔梗さんを好きになって恋愛スイッチが入ったら別れるつもりなんだと思って……」
「期間限定の彼女、って?」
淡々と桔梗さんが質問を繰り出す。表情が見えないので桔梗さんが何を考えているのかわからない。
「い、以前桔梗さんが告白されていた女性に彼女をつくる気はないって言ってたから…」
「あーあれか。見てたのか……俺がお前を帰りに追いかけて外に出た日だよな? それであの時、様子がおかしかったのか?」
桔梗さんの言葉に私の顔が真っ赤に染まった。
「そんな可愛い顔をしない」
即座に甘い声で言われる。
「してません! だ、だってその女性にバレンタインデーにチョコを貰ってたじゃないですか! 告白は断ったけど、彼女はいないって言ったって聞きました! だ、だから私は彼女じゃないんだって思って、わ、私だって桔梗さんにチョコ、渡したかったのに!」
話しているうちに気持ちが高ぶって涙が滲む。あの日押し込んだ苦い気持ちが溢れ出す。
「ごめん。そっか、俺が不安にさせてたんだな」
桔梗さんが零れ出した私の涙を唇でそっと掬う。
ドクン、と鼓動が跳ねる。その仕草が優しくて益々涙が止まらない。