好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「まだ話してないのよね?」
尚樹さんが不在の今日、峰岸さんが私の眼前の空いている席で検印をしてくれている。センターに送る書類チェックを済ませた峰岸さんが私に話しかけた。
「……はい」
峰岸さんは何かを言いたげな視線で、ひとつ溜め息をつく。
「まあ、仕方ないわね、このスケジュールじゃ」
ちらりと峰岸さんが私の真後ろの空席を眺める。毎日整理はしているけれど、彼が目を通さなければいけない書類が溜まっている。パソコンには今日一日だけで何枚もの電話連絡を知らせる付箋が貼られている。
「すみません」
「あなたか謝ることじゃないでしょ」
次の仕事に手早く取り掛かりながら峰岸さんがピシャリと言う。
「そうそう、試験と面談の日程が決まったわ。本来なら東京で受験になるのだけど、たまたまこっちに来る予定がある上司が捕まったから、頼んだの」
無言の私に、峰岸さんはふっと笑う。
「言っておくけど瀬尾くんじゃないわよ。あなたと面識がある上司は面談相手にはならないから。桔梗くんが出張で不在の日にしておいたから」
「ありがとうございます!」
私の一番の懸念事項を当たり前のように成し遂げてくれた峰岸さんに、心から感謝を伝える。
「早く話しなさいよ。試験と面談対策を閉店後にしましょう」
峰岸さんの言葉に私は大きく頷く。
尚樹さんが不在の今日、峰岸さんが私の眼前の空いている席で検印をしてくれている。センターに送る書類チェックを済ませた峰岸さんが私に話しかけた。
「……はい」
峰岸さんは何かを言いたげな視線で、ひとつ溜め息をつく。
「まあ、仕方ないわね、このスケジュールじゃ」
ちらりと峰岸さんが私の真後ろの空席を眺める。毎日整理はしているけれど、彼が目を通さなければいけない書類が溜まっている。パソコンには今日一日だけで何枚もの電話連絡を知らせる付箋が貼られている。
「すみません」
「あなたか謝ることじゃないでしょ」
次の仕事に手早く取り掛かりながら峰岸さんがピシャリと言う。
「そうそう、試験と面談の日程が決まったわ。本来なら東京で受験になるのだけど、たまたまこっちに来る予定がある上司が捕まったから、頼んだの」
無言の私に、峰岸さんはふっと笑う。
「言っておくけど瀬尾くんじゃないわよ。あなたと面識がある上司は面談相手にはならないから。桔梗くんが出張で不在の日にしておいたから」
「ありがとうございます!」
私の一番の懸念事項を当たり前のように成し遂げてくれた峰岸さんに、心から感謝を伝える。
「早く話しなさいよ。試験と面談対策を閉店後にしましょう」
峰岸さんの言葉に私は大きく頷く。