好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「お疲れ様です、峰岸さんっ」
峰岸さんの直通電話に勢い込んで電話をすると、いつもと変わらない冷静な声が聞こえた。
「遅かったわね、飛行機間に合うの? 今はどこ?」
何もかも承知しているような落ち着いた峰岸さんの声。
「今から空港に向かう電車に乗ります……って峰岸さんっ、最終面談はどうなったんですか? 私の飛行機は七時のはずじゃ……」
対する私は全く余裕がない。
「ああ、早めたの。三時半よ、メールを送ってあるからチェックインカウンターでそれを見せてね。最終面談は久住さんがしてくれたでしょ?」
峰岸さんの様子は変わらない。
「あ、あのっ、あれがですかっ?」
焦って聞き返す私。
「……どんな面談だったのよ、あの人……まあ、いいわ。聞いたら腹立たしくなるから。とにかくあなたはそのまま三時半の便に乗って、新千歳空港で待機ね」
呆れながらも峰岸さんは淡々と指示をする。
「えっ?」
「桔梗くんが搭乗する便は七時よ。六時前には新千歳空港に着くわ。そこできちんと話をしなさい」
その言葉に何かが胸にストンと落ちる。
「こじれたんでしょ? だから早く話しなさいって言ったのよ。桔梗くん、今朝から不機嫌で鬱陶しいの。さっさと仲直りしてちょうだい」
素っ気なく話す峰岸さんにスマートフォンを握りしめたまま頭を下げた。
「峰岸さん! ありがとうございます」
どうして私の最終面談が久住部長で、あんな場所でされたのかわかった。
すべては峰岸さんの取り計らい。桔梗さんと私に話をさせてくれるために、峰岸さんがすべて頼んでくれた。
どこまでも素敵な優しい上司の取り計らいに胸が熱くなる。私は涙を拭って、何度もお礼を伝えた。
峰岸さんの直通電話に勢い込んで電話をすると、いつもと変わらない冷静な声が聞こえた。
「遅かったわね、飛行機間に合うの? 今はどこ?」
何もかも承知しているような落ち着いた峰岸さんの声。
「今から空港に向かう電車に乗ります……って峰岸さんっ、最終面談はどうなったんですか? 私の飛行機は七時のはずじゃ……」
対する私は全く余裕がない。
「ああ、早めたの。三時半よ、メールを送ってあるからチェックインカウンターでそれを見せてね。最終面談は久住さんがしてくれたでしょ?」
峰岸さんの様子は変わらない。
「あ、あのっ、あれがですかっ?」
焦って聞き返す私。
「……どんな面談だったのよ、あの人……まあ、いいわ。聞いたら腹立たしくなるから。とにかくあなたはそのまま三時半の便に乗って、新千歳空港で待機ね」
呆れながらも峰岸さんは淡々と指示をする。
「えっ?」
「桔梗くんが搭乗する便は七時よ。六時前には新千歳空港に着くわ。そこできちんと話をしなさい」
その言葉に何かが胸にストンと落ちる。
「こじれたんでしょ? だから早く話しなさいって言ったのよ。桔梗くん、今朝から不機嫌で鬱陶しいの。さっさと仲直りしてちょうだい」
素っ気なく話す峰岸さんにスマートフォンを握りしめたまま頭を下げた。
「峰岸さん! ありがとうございます」
どうして私の最終面談が久住部長で、あんな場所でされたのかわかった。
すべては峰岸さんの取り計らい。桔梗さんと私に話をさせてくれるために、峰岸さんがすべて頼んでくれた。
どこまでも素敵な優しい上司の取り計らいに胸が熱くなる。私は涙を拭って、何度もお礼を伝えた。