好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
帰り仕度をしてエントランスに向かうと、既に桔梗さんが壁に凭れて立っていた。
長い足を軽く交差して腕を組んで立っているだけなのに、大人の男性の色香が漂って……悔しいけれど文句なしにカッコいい。
『お疲れ、藤井。帰るぞ』
スーツの上着を私の小さなお礼と共に受け取って、長い足で距離を詰めた桔梗さんが言う。
『えっ!? 桔梗さんも帰るんですか?』
驚く私。
『そう』
当たり前のように頷く桔梗さん。
『だ、だめですよ! 瀬尾さんにレイアウト変更任されたんですよね!? 戻りましょう!』
がしっと桔梗さんの腕を慌てて掴む私に桔梗さんが苦笑する。
『大丈夫だって』
相変わらずクスクス笑っている桔梗さん。
『大丈夫じゃないです!』
見た目よりも随分がっしりした腕の感触に、男性であることを今さらながらに認識する。
『お前、どれだけ真面目なの。潤が帰ってきたからちゃんと任せてきたよ』
桔梗さんは呆れたように言う。
『あ、そうなんですか……』
安心して肩の力が抜けた。
『幾ら俺でもそんな職務放棄はしないんだけど? 俺、一応管理職だし?』
何で疑問形なの、この人、と思ったけれどそこは口をつぐんだ。
管理職っていうか仕事ができる方だというのは重々承知してますけどね!
札幌支店には我が社きってのイケメンのエリートが集中してるって巷では言われていると金子さんに聞いたばかりだ。
『藤井、そんなに俺から離れがたかったら恋人繋ぎしてやるから。とりあえず両手で腕掴むのはやめて』
『しません、結構です!』
にやにや笑う桔梗さんからぱっと両手を離して私は後退した。
長い足を軽く交差して腕を組んで立っているだけなのに、大人の男性の色香が漂って……悔しいけれど文句なしにカッコいい。
『お疲れ、藤井。帰るぞ』
スーツの上着を私の小さなお礼と共に受け取って、長い足で距離を詰めた桔梗さんが言う。
『えっ!? 桔梗さんも帰るんですか?』
驚く私。
『そう』
当たり前のように頷く桔梗さん。
『だ、だめですよ! 瀬尾さんにレイアウト変更任されたんですよね!? 戻りましょう!』
がしっと桔梗さんの腕を慌てて掴む私に桔梗さんが苦笑する。
『大丈夫だって』
相変わらずクスクス笑っている桔梗さん。
『大丈夫じゃないです!』
見た目よりも随分がっしりした腕の感触に、男性であることを今さらながらに認識する。
『お前、どれだけ真面目なの。潤が帰ってきたからちゃんと任せてきたよ』
桔梗さんは呆れたように言う。
『あ、そうなんですか……』
安心して肩の力が抜けた。
『幾ら俺でもそんな職務放棄はしないんだけど? 俺、一応管理職だし?』
何で疑問形なの、この人、と思ったけれどそこは口をつぐんだ。
管理職っていうか仕事ができる方だというのは重々承知してますけどね!
札幌支店には我が社きってのイケメンのエリートが集中してるって巷では言われていると金子さんに聞いたばかりだ。
『藤井、そんなに俺から離れがたかったら恋人繋ぎしてやるから。とりあえず両手で腕掴むのはやめて』
『しません、結構です!』
にやにや笑う桔梗さんからぱっと両手を離して私は後退した。