好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
『な、何で笑ってるんですか!』
我に返って反論する。
『いや、笑うだろ! お前、そこは反応違うって! きゃあ、秘密の自宅を教えてもらえるなんて私って特別なの、とかさ。可愛く真っ赤になるとこじゃないの?』
笑いながら桔梗さんが言う。
『本当ぶれないな、藤井。あー面白い。俺、自宅教えてこんな反応されたの初めてだよ』
……どうせ可愛くない反応ですよ。仕方ないじゃない、これが私なんだから。
悪態をつきたいけれど、そこはグッとこらえる。
『すみません、可愛い反応ができなくて』
代わりに思いっきり無表情で嫌味に返事をする。
『誰にも話したりはしませんから、ご安心ください』
そんな可愛げのない私の態度に、桔梗さんはふっと優しい目を向けた。
『だから、お前には教えたんだよ』
え……?
『どういうことですか?』
瞬きをして聞き返す私。
『んー? そのままの意味。藤井だから教えたの。俺の自宅知ってるの、お前と支店長と皆川さんと潤だけだから。これから先もそれは変わらない』
ほんの一瞬だけの真剣な表情。いつもの桔梗さんとは何か違う表情にたじろぐ。真っ直ぐな視線は何もかも見透かしているよう。
『いつまで突ったってんの。行くぞ』
普段と変わらない口調で桔梗さんはまた歩き出す。
『ま、待ってください!』
慌てて私は彼の後を追った。
我に返って反論する。
『いや、笑うだろ! お前、そこは反応違うって! きゃあ、秘密の自宅を教えてもらえるなんて私って特別なの、とかさ。可愛く真っ赤になるとこじゃないの?』
笑いながら桔梗さんが言う。
『本当ぶれないな、藤井。あー面白い。俺、自宅教えてこんな反応されたの初めてだよ』
……どうせ可愛くない反応ですよ。仕方ないじゃない、これが私なんだから。
悪態をつきたいけれど、そこはグッとこらえる。
『すみません、可愛い反応ができなくて』
代わりに思いっきり無表情で嫌味に返事をする。
『誰にも話したりはしませんから、ご安心ください』
そんな可愛げのない私の態度に、桔梗さんはふっと優しい目を向けた。
『だから、お前には教えたんだよ』
え……?
『どういうことですか?』
瞬きをして聞き返す私。
『んー? そのままの意味。藤井だから教えたの。俺の自宅知ってるの、お前と支店長と皆川さんと潤だけだから。これから先もそれは変わらない』
ほんの一瞬だけの真剣な表情。いつもの桔梗さんとは何か違う表情にたじろぐ。真っ直ぐな視線は何もかも見透かしているよう。
『いつまで突ったってんの。行くぞ』
普段と変わらない口調で桔梗さんはまた歩き出す。
『ま、待ってください!』
慌てて私は彼の後を追った。