好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
好き? 好きって……!
告白されたわけでもないのにカアッと頰が熱くなる。
『もう、尚樹くん。何やってるの、中学生じゃないんだから。ほら、ふたりとも座って。何か食べる? こんな時間だし、お腹すいたんじゃない?』
桔梗さんに呆れたような視線を向けながら桜さんが言う。
『あ、じゃあ何か適当にお願いします』
そう言って桔梗さんは手前のカウンター席の椅子をひいた。
『ほら、藤井、座れよ』
そう言って自分はその隣に腰かけた。椅子をひいてくれたり、どんな時も細やかな心遣いを見せてくれる桔梗さんに顔の火照りは収まりそうにない。
『お、お邪魔します』
おずおずと赤くなった頰を隠すように座った私から見える、美麗な横顔。
金子さんは瀬尾さんは王子様のように整っていて完璧だ、とよく言うけれど私には桔梗さんの顔立ちのほうが綺麗だと感じる。とても美麗な顔立ちだけれど、桔梗さんはくるくる表情が変わる。一見すると無表情な近付きがたい雰囲気だけれど、少しでも話すと雰囲気が変わる。
私が一番惹き付けられるのはくしゃっと顔を崩して笑う顔。年上とは思えないくらいにあどけなくて、可愛らしささえ感じる。そんな感情表現が豊かな桔梗さんを私はとても綺麗な人だと思う。
『何?』
私がじっと見つめていることに気づいたのか桔梗さんが私に向き直る。
『あ、いえ。桔梗さんの大事な方のお店に私なんかを連れてきてもらってよかったのかな、と』
慌てて取り繕う。
『藤井だからいいんだよ、お前は特別』
くしゃっと私の髪を撫でて桔梗さんが無邪気に笑う。
ドクンドクンドクン。
再び暴れだす私の鼓動。
何だろう、私、どうしたんだろう。いつもならぽんぽん言い返せるのに。今日はうまく言葉が出ない。
『それと、私なんか、とか言わない。そんな自分を卑下するような言い方をするな』
告白されたわけでもないのにカアッと頰が熱くなる。
『もう、尚樹くん。何やってるの、中学生じゃないんだから。ほら、ふたりとも座って。何か食べる? こんな時間だし、お腹すいたんじゃない?』
桔梗さんに呆れたような視線を向けながら桜さんが言う。
『あ、じゃあ何か適当にお願いします』
そう言って桔梗さんは手前のカウンター席の椅子をひいた。
『ほら、藤井、座れよ』
そう言って自分はその隣に腰かけた。椅子をひいてくれたり、どんな時も細やかな心遣いを見せてくれる桔梗さんに顔の火照りは収まりそうにない。
『お、お邪魔します』
おずおずと赤くなった頰を隠すように座った私から見える、美麗な横顔。
金子さんは瀬尾さんは王子様のように整っていて完璧だ、とよく言うけれど私には桔梗さんの顔立ちのほうが綺麗だと感じる。とても美麗な顔立ちだけれど、桔梗さんはくるくる表情が変わる。一見すると無表情な近付きがたい雰囲気だけれど、少しでも話すと雰囲気が変わる。
私が一番惹き付けられるのはくしゃっと顔を崩して笑う顔。年上とは思えないくらいにあどけなくて、可愛らしささえ感じる。そんな感情表現が豊かな桔梗さんを私はとても綺麗な人だと思う。
『何?』
私がじっと見つめていることに気づいたのか桔梗さんが私に向き直る。
『あ、いえ。桔梗さんの大事な方のお店に私なんかを連れてきてもらってよかったのかな、と』
慌てて取り繕う。
『藤井だからいいんだよ、お前は特別』
くしゃっと私の髪を撫でて桔梗さんが無邪気に笑う。
ドクンドクンドクン。
再び暴れだす私の鼓動。
何だろう、私、どうしたんだろう。いつもならぽんぽん言い返せるのに。今日はうまく言葉が出ない。
『それと、私なんか、とか言わない。そんな自分を卑下するような言い方をするな』