好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
基本的に事務職の私は内勤になるので、一歩支店内に足を踏み入れると外出はできない。
それがたとえ昼休みでも。ただ研修や病院、やむを得ない事情がある場合や上司の許可をとった場合は外出できる。
「莉歩、ここよ!」
指定された洋食屋さんのテーブル席で私に片手を振る菜々。
菜々は普段は札幌駅前の百貨店内のお店に勤めている。高校、大学と同じ時間を過ごした親友は卒業後、アパレルメーカーに就職した。今日は大通にあるファッションビルに新規出店した店舗のヘルプとして勤務することになったらしい。そのため、久し振りに一緒にランチを取ろうと昨夜誘われたのだ。
「席、予約してくれたんだ? ありがとう、助かる」
大通駅から徒歩五分くらいのところにある煉瓦造りのビル。そこの一階に店舗を構えるこの洋食屋さんは学生時代から、私たちのお気に入りだ。特にハンバーグが美味しくてよく通っている。
ランチ時は混むので、時間が限られている身としてはすんなり席に着けるのは嬉しい。
「まあね、混む時間ずらしても良かったんだけど、限定ランチなくなっちゃったら嫌だから」
明るく笑う菜々はオフホワイトのざっくりしたセーターに細身のパンツ、ブーティといった相変わらずお洒落な装いだ。茶色く染めた髪を複雑に編み込んだ髪型がよく似合っている。
「相変わらずかっちりした装いね」
職業柄なのか、私の服を見つめる菜々に苦笑する。明るい紺色のピンストライプのパンツにピンクのVネックセーター、私の普段勤務する時の装いだ。
「莉歩は色が白いからピンク色がよく似合うわよね。私だとちょっとピンク色の種類を選ばなきゃいけないんだけど」
「そうかなあ?」
食べたいメニューを注文してから、近況を報告しつつ他愛ない話をする。
それがたとえ昼休みでも。ただ研修や病院、やむを得ない事情がある場合や上司の許可をとった場合は外出できる。
「莉歩、ここよ!」
指定された洋食屋さんのテーブル席で私に片手を振る菜々。
菜々は普段は札幌駅前の百貨店内のお店に勤めている。高校、大学と同じ時間を過ごした親友は卒業後、アパレルメーカーに就職した。今日は大通にあるファッションビルに新規出店した店舗のヘルプとして勤務することになったらしい。そのため、久し振りに一緒にランチを取ろうと昨夜誘われたのだ。
「席、予約してくれたんだ? ありがとう、助かる」
大通駅から徒歩五分くらいのところにある煉瓦造りのビル。そこの一階に店舗を構えるこの洋食屋さんは学生時代から、私たちのお気に入りだ。特にハンバーグが美味しくてよく通っている。
ランチ時は混むので、時間が限られている身としてはすんなり席に着けるのは嬉しい。
「まあね、混む時間ずらしても良かったんだけど、限定ランチなくなっちゃったら嫌だから」
明るく笑う菜々はオフホワイトのざっくりしたセーターに細身のパンツ、ブーティといった相変わらずお洒落な装いだ。茶色く染めた髪を複雑に編み込んだ髪型がよく似合っている。
「相変わらずかっちりした装いね」
職業柄なのか、私の服を見つめる菜々に苦笑する。明るい紺色のピンストライプのパンツにピンクのVネックセーター、私の普段勤務する時の装いだ。
「莉歩は色が白いからピンク色がよく似合うわよね。私だとちょっとピンク色の種類を選ばなきゃいけないんだけど」
「そうかなあ?」
食べたいメニューを注文してから、近況を報告しつつ他愛ない話をする。