好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「ね、莉歩。クリスマスお見合い会、行かない?」
唐突に話を変える菜々。
「えっ?」
注文した食事が運ばれてきて、箸をとる私の手が止まる。バッグから一枚の紙を取り出す菜々。
「ほら私、二ヶ月前に彼氏と別れたでしょ? 暫くフリーでいいかなと思ったんだけど、この間職場の先輩に教えてもらったの。こういう会って行ったことなくて。出会いも求めてるし、興味があるの! 一緒に行こ!」
目の前にはクリスマスお見合い会、と明るい色の文字が踊る紙。場所や時間、会費等細かに記載されている。
「行かない」
即答してハンバーグを口に運ぶ。
「何でよ、別にそこで絶対に彼氏を見つけなきゃいけないわけじゃないのよ? 出会いのチャンスなんだから」
器用に海老フライを切り分けながら話す菜々。
「興味ない」
「莉歩、最後に彼氏と別れたのいつだった?」
胡乱な眼差しで私を見つめる菜々。
「……就職してすぐくらい」
話の雲行きが怪しくなってきた気がして、小声になる。
「だよね? それから真剣に誰かと付き合ったことあった?」
菜々はきちんとマスカラが塗られた目を細めて言いつのる。なぜか感じる威圧感。
フルフルと首を横に振る私に更にたたみ掛ける。
「そのうち素敵な人に出会う、なんて夢物語みたいなこと言わないでね。その機会はこの数年あったのに、出会ってないんだからね?」
容赦ない言葉を浴びせかける親友に、私は黙ってハンバーグを食べる。
唐突に話を変える菜々。
「えっ?」
注文した食事が運ばれてきて、箸をとる私の手が止まる。バッグから一枚の紙を取り出す菜々。
「ほら私、二ヶ月前に彼氏と別れたでしょ? 暫くフリーでいいかなと思ったんだけど、この間職場の先輩に教えてもらったの。こういう会って行ったことなくて。出会いも求めてるし、興味があるの! 一緒に行こ!」
目の前にはクリスマスお見合い会、と明るい色の文字が踊る紙。場所や時間、会費等細かに記載されている。
「行かない」
即答してハンバーグを口に運ぶ。
「何でよ、別にそこで絶対に彼氏を見つけなきゃいけないわけじゃないのよ? 出会いのチャンスなんだから」
器用に海老フライを切り分けながら話す菜々。
「興味ない」
「莉歩、最後に彼氏と別れたのいつだった?」
胡乱な眼差しで私を見つめる菜々。
「……就職してすぐくらい」
話の雲行きが怪しくなってきた気がして、小声になる。
「だよね? それから真剣に誰かと付き合ったことあった?」
菜々はきちんとマスカラが塗られた目を細めて言いつのる。なぜか感じる威圧感。
フルフルと首を横に振る私に更にたたみ掛ける。
「そのうち素敵な人に出会う、なんて夢物語みたいなこと言わないでね。その機会はこの数年あったのに、出会ってないんだからね?」
容赦ない言葉を浴びせかける親友に、私は黙ってハンバーグを食べる。