好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
段取りや準備をきちんとしないと不安になる。臨機応変に対応するのが下手だから相手がある予定はきちんと立てたい。
友達の数もそんなに多くない。三人姉妹の長女なだけあって面倒見がよい菜々は要領もよく、多方面で不器用な私はいつも助けてもらってきた。
「恋って別れたばかりの私が言うのもおかしいけど、相手のことを想うだけで幸せな気持ちになったり、走り出したくなったり、毎日を丁寧に生きたくなったり、そんなウキウキするものじゃない?」
妹の受け売りだけどね、とホットコーヒーを飲みながら菜々は言う。
「辛いことばかりだったら皆、恋なんてしないよ。あ、でも恋って、するものじゃなくて落ちるものだって言うからわからないけど」
思い出したように菜々が言う。
「落ちたことなんて、ないからわかんないよ」
不貞腐れたように答える私に、菜々は眉尻を下げて笑う。
「そんなの私もよ」
「私、きっと恋愛に向いてない。大切にしたい人に出会ってもどういう風に大切にすればいいのかわからない」
自嘲ぎみに呟く私。
「それ、彼氏側の台詞じゃない?」
呆れたように返す菜々。
「彼氏、とか恋愛はもういいの」
自分に言い聞かせるように私は言う。
「莉歩の恋愛スイッチ、入れたいんだけどな。ずっとオフだから」
溜め息混じりにホットコーヒーを飲み干す菜々に曖昧に微笑んだ。
仕事をして大切な友人とランチをする。そんな毎日が私は幸せだ。心を乱されるような恋愛なんてしたくない。
ランチを食べ終えて、私たちは店を出た。
友達の数もそんなに多くない。三人姉妹の長女なだけあって面倒見がよい菜々は要領もよく、多方面で不器用な私はいつも助けてもらってきた。
「恋って別れたばかりの私が言うのもおかしいけど、相手のことを想うだけで幸せな気持ちになったり、走り出したくなったり、毎日を丁寧に生きたくなったり、そんなウキウキするものじゃない?」
妹の受け売りだけどね、とホットコーヒーを飲みながら菜々は言う。
「辛いことばかりだったら皆、恋なんてしないよ。あ、でも恋って、するものじゃなくて落ちるものだって言うからわからないけど」
思い出したように菜々が言う。
「落ちたことなんて、ないからわかんないよ」
不貞腐れたように答える私に、菜々は眉尻を下げて笑う。
「そんなの私もよ」
「私、きっと恋愛に向いてない。大切にしたい人に出会ってもどういう風に大切にすればいいのかわからない」
自嘲ぎみに呟く私。
「それ、彼氏側の台詞じゃない?」
呆れたように返す菜々。
「彼氏、とか恋愛はもういいの」
自分に言い聞かせるように私は言う。
「莉歩の恋愛スイッチ、入れたいんだけどな。ずっとオフだから」
溜め息混じりにホットコーヒーを飲み干す菜々に曖昧に微笑んだ。
仕事をして大切な友人とランチをする。そんな毎日が私は幸せだ。心を乱されるような恋愛なんてしたくない。
ランチを食べ終えて、私たちは店を出た。