好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「だったら、俺がお前の恋愛スイッチ、入れてやるよ」
難攻不落な問題を突きつけられた時のように、弾む声。キラキラ楽しそうに輝く焦げ茶色の瞳。
どうして楽しそうなの? 普通、困るよね? 嫌じゃないの?
小さく私がたじろいだことに気づく目敏い上司。
「何が気になった?」
ひょい、と目線を私に合わせてくる。
頰に触れる指先はそのままに、澄んだチョコレート色の瞳が私を覗き込む。変わらずに注がれる優しい声が胸に沁みて、言葉がうまく出てこない。
そんな風に優しく聞かないで。何で、面倒臭がらないの?
誰が見たって美形で、エリートな男性に告白されてるのに、カッコ悪い反応と無様な言葉しか返せない私を。壊れもののように大切に扱わないで。
勘違いしてしまう。
桔梗さんが本当に私を好きなんだって、間違えそうになるから。
これ以上は、お願いだから。踏み込まないで。
「何で泣きそうになる?」
フッと困ったように下がる彼の眉尻。私を甘やかすように響く声。
ああ、どうして。この人は、こんなにも私の心の動きを読むの? どうしてそんなに何もかも見透かすの?
難攻不落な問題を突きつけられた時のように、弾む声。キラキラ楽しそうに輝く焦げ茶色の瞳。
どうして楽しそうなの? 普通、困るよね? 嫌じゃないの?
小さく私がたじろいだことに気づく目敏い上司。
「何が気になった?」
ひょい、と目線を私に合わせてくる。
頰に触れる指先はそのままに、澄んだチョコレート色の瞳が私を覗き込む。変わらずに注がれる優しい声が胸に沁みて、言葉がうまく出てこない。
そんな風に優しく聞かないで。何で、面倒臭がらないの?
誰が見たって美形で、エリートな男性に告白されてるのに、カッコ悪い反応と無様な言葉しか返せない私を。壊れもののように大切に扱わないで。
勘違いしてしまう。
桔梗さんが本当に私を好きなんだって、間違えそうになるから。
これ以上は、お願いだから。踏み込まないで。
「何で泣きそうになる?」
フッと困ったように下がる彼の眉尻。私を甘やかすように響く声。
ああ、どうして。この人は、こんなにも私の心の動きを読むの? どうしてそんなに何もかも見透かすの?