好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「何、落ち込んでるの。藤井が聞きたいことは何でも答える。今のはビックリしたけど。そういう話をお前としたことがなかったから、気になるのは当たり前だし、俺だって気になるよ」
「わ、私は彼氏はいません!」
全力で否定する。
「知ってる」
拍子抜けするくらいあっさりと言われた。どれだけお見通しなの。
一瞬むくれた私の顔に小さく苦笑する、桔梗さん。
「そりゃそうだろ。婚活パーティもどきに行こうとしてるんだし。彼氏がいるのにそういうのに参加できるほどお前、器用じゃないだろ。俺もいない。ずっと、本気で好きになれる女はいなかった」
そっと大きな手の平で私の頰を包む桔梗さん。
「お前以外に大事にしたい特別な女はひとりもいない。やっと見つけたんだ」
ああ、またそうやって一瞬で真剣な眼差しに変わって、あっさりと甘い言葉を言う。
その一言がどれだけ私の胸に沁みこんで、翻弄しているって理解しているのだろうか?
もう私の許容範囲を超えている。
「なあ、藤井。ひとつだけ頼みがあるんだ」
切なさをたたえた目で桔梗さんが私を見つめる。得体のしれない不安が一瞬、よぎる。
「何ですか?」
必死で平静を装う私に桔梗さんは告げる。
「俺を、今よりも好きになったら告白して。お前の気持ちが俺に追い付くのを待ってるから」
まるで懇願するかのように、私の指を取って小さくキスをする。触れられた指にはしる衝撃。カッと熱をもってゾクリ、と肌が粟立つ。
「……いい?」
じっと私から視線を逸らさない桔梗さんに、小さく頷く。
「わ、私は彼氏はいません!」
全力で否定する。
「知ってる」
拍子抜けするくらいあっさりと言われた。どれだけお見通しなの。
一瞬むくれた私の顔に小さく苦笑する、桔梗さん。
「そりゃそうだろ。婚活パーティもどきに行こうとしてるんだし。彼氏がいるのにそういうのに参加できるほどお前、器用じゃないだろ。俺もいない。ずっと、本気で好きになれる女はいなかった」
そっと大きな手の平で私の頰を包む桔梗さん。
「お前以外に大事にしたい特別な女はひとりもいない。やっと見つけたんだ」
ああ、またそうやって一瞬で真剣な眼差しに変わって、あっさりと甘い言葉を言う。
その一言がどれだけ私の胸に沁みこんで、翻弄しているって理解しているのだろうか?
もう私の許容範囲を超えている。
「なあ、藤井。ひとつだけ頼みがあるんだ」
切なさをたたえた目で桔梗さんが私を見つめる。得体のしれない不安が一瞬、よぎる。
「何ですか?」
必死で平静を装う私に桔梗さんは告げる。
「俺を、今よりも好きになったら告白して。お前の気持ちが俺に追い付くのを待ってるから」
まるで懇願するかのように、私の指を取って小さくキスをする。触れられた指にはしる衝撃。カッと熱をもってゾクリ、と肌が粟立つ。
「……いい?」
じっと私から視線を逸らさない桔梗さんに、小さく頷く。