好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「で、私をここまで呼び出した理由は話を聞くためだけじゃないでしょ? それなら夜に莉歩の家でする、クリスマスパーティーの時に聞けばいいだけだし」
勘のいい菜々は楽しそうな表情を浮かべる。
この後、私の自宅でクリスマスパーティーをする予定だ。菜々は一晩泊まって明日の朝、我が家から出勤する。
「……桔梗さんにクリスマスプレゼントを渡したいなと思って」
消え入りそうな声を出す私に、菜々は「そうだろうと思った」と言って意気揚々とメンズフロアに向かう。
桔梗さんとは何の約束もしていない。
日曜の会えるような時間に帰ってきてくれるかもわからないし、疲れているだろう。
クリスマスも終わっているし、今さらだと思われてしまうかもしれない。それでも、クリスマスに会えないことを残念がってくれた桔梗さんに、素直に表現できなかった自分の気持ちを伝えたい。ほんの少しでも普段の自分の領域から踏み出して、桔梗さんに会いたかった。プレゼントを渡したいと単純に思った。
けれども男性へのプレゼントなんて何を選べばいいのか検討もつかない。普段からお洒落でセンスのよい桔梗さんだ。大抵のものは自身で買い揃えているだろうし、好みだってあるだろう。使わないものや迷惑になるようなものを渡したくはない。
そう思った私が頼ることができる人はひとりしかいなかった。
「無難にネクタイにしたら?」
ああだ、こうだ、と悩み続ける私に呆れたように菜々は言う。
「毎日使うものだし、身に付けるものだし。使ってくれているかどうかが一目でわかるし。いくつあってもそんなにかさばらないし、迷惑にならないでしょ? ネクタイピンとセットにしてもいいんじゃないの?」
最もな意見を言ってくれる菜々。
悩み続けて相当な時間が経っている。サイドゴアブーツを履いた私の足も痛い。私は菜々の意見に同意した。
勘のいい菜々は楽しそうな表情を浮かべる。
この後、私の自宅でクリスマスパーティーをする予定だ。菜々は一晩泊まって明日の朝、我が家から出勤する。
「……桔梗さんにクリスマスプレゼントを渡したいなと思って」
消え入りそうな声を出す私に、菜々は「そうだろうと思った」と言って意気揚々とメンズフロアに向かう。
桔梗さんとは何の約束もしていない。
日曜の会えるような時間に帰ってきてくれるかもわからないし、疲れているだろう。
クリスマスも終わっているし、今さらだと思われてしまうかもしれない。それでも、クリスマスに会えないことを残念がってくれた桔梗さんに、素直に表現できなかった自分の気持ちを伝えたい。ほんの少しでも普段の自分の領域から踏み出して、桔梗さんに会いたかった。プレゼントを渡したいと単純に思った。
けれども男性へのプレゼントなんて何を選べばいいのか検討もつかない。普段からお洒落でセンスのよい桔梗さんだ。大抵のものは自身で買い揃えているだろうし、好みだってあるだろう。使わないものや迷惑になるようなものを渡したくはない。
そう思った私が頼ることができる人はひとりしかいなかった。
「無難にネクタイにしたら?」
ああだ、こうだ、と悩み続ける私に呆れたように菜々は言う。
「毎日使うものだし、身に付けるものだし。使ってくれているかどうかが一目でわかるし。いくつあってもそんなにかさばらないし、迷惑にならないでしょ? ネクタイピンとセットにしてもいいんじゃないの?」
最もな意見を言ってくれる菜々。
悩み続けて相当な時間が経っている。サイドゴアブーツを履いた私の足も痛い。私は菜々の意見に同意した。