好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
ああ、そうか。私、もうとっくに桔梗さんが大好き、なんだ。
触れられて身体に熱を持つのも、胸が締めつけられるように痛むのも、鼓動が狂ったように暴れだすのも。桔梗さんに恋をしているから。
恋愛には向かない私なのに。恋愛スイッチは切ってしまった私なのに。いつのまにか桔梗尚樹という男性に、本気で恋をしてしまった。
ああ、そうだね菜々。恋はするものじゃなくて、落ちるものだ。私はやっぱり恋愛に向いていない。だって、いつ落ちたのかすらわからないもの。
コトン、と湧いた溢れそうな“好き”の感情は私の胸に沁みてすんなり馴染んでしまう。今、自覚したばかりなのに、もう既に私の恋心は手に負えない。私の意思なんて無視で、どんどん桔梗さんに惹かれている。まるで片想い。桔梗さんみたいにさらりと気持ちなんて言えない。だから、なのかもしれない。勝手な、失礼な言い分だけど。恋を失うことがいつもだったから、条件反射で捉えてしまって、峰岸さんの恋愛に自分を重ねてしまったのかもしれない。
桔梗さんは私の恋愛スイッチを入れる、と言った。私が桔梗さんを好きになったら伝えて、と。
じゃあ、その後は?
私が恋愛スイッチをオンにして、桔梗さんに好きだと告げたらその後は?
私はどうなるの?
もういらなくなる?
彼が私の傍にいる必要はなくなる?
そうだったらどうしよう。
桔梗さんが私に望んだこのふたつが叶ったらその後はどうなるの?
“彼女”は必要ない?
いつかの告白された女の子に彼女はいらない、と言った桔梗さん。なのにどうして私を彼女にしたのだろうと思っていた。本当はずっと気になっていた。私は彼に気持ちを告げて、恋愛スイッチをオンにしてしまうまでの彼女。本当の意味のホンモノの彼女じゃない。
あの日、資料室で真摯に私に告白してくれた桔梗さんの気持ちを疑ったことはない。私を“特別”だと言ってくれた気持ちも疑ったことはない。
触れられて身体に熱を持つのも、胸が締めつけられるように痛むのも、鼓動が狂ったように暴れだすのも。桔梗さんに恋をしているから。
恋愛には向かない私なのに。恋愛スイッチは切ってしまった私なのに。いつのまにか桔梗尚樹という男性に、本気で恋をしてしまった。
ああ、そうだね菜々。恋はするものじゃなくて、落ちるものだ。私はやっぱり恋愛に向いていない。だって、いつ落ちたのかすらわからないもの。
コトン、と湧いた溢れそうな“好き”の感情は私の胸に沁みてすんなり馴染んでしまう。今、自覚したばかりなのに、もう既に私の恋心は手に負えない。私の意思なんて無視で、どんどん桔梗さんに惹かれている。まるで片想い。桔梗さんみたいにさらりと気持ちなんて言えない。だから、なのかもしれない。勝手な、失礼な言い分だけど。恋を失うことがいつもだったから、条件反射で捉えてしまって、峰岸さんの恋愛に自分を重ねてしまったのかもしれない。
桔梗さんは私の恋愛スイッチを入れる、と言った。私が桔梗さんを好きになったら伝えて、と。
じゃあ、その後は?
私が恋愛スイッチをオンにして、桔梗さんに好きだと告げたらその後は?
私はどうなるの?
もういらなくなる?
彼が私の傍にいる必要はなくなる?
そうだったらどうしよう。
桔梗さんが私に望んだこのふたつが叶ったらその後はどうなるの?
“彼女”は必要ない?
いつかの告白された女の子に彼女はいらない、と言った桔梗さん。なのにどうして私を彼女にしたのだろうと思っていた。本当はずっと気になっていた。私は彼に気持ちを告げて、恋愛スイッチをオンにしてしまうまでの彼女。本当の意味のホンモノの彼女じゃない。
あの日、資料室で真摯に私に告白してくれた桔梗さんの気持ちを疑ったことはない。私を“特別”だと言ってくれた気持ちも疑ったことはない。