好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「菜々、私決めたの。バレンタインデーに告白するって。だから、重いものを渡したくないの」
真剣な口調の私に菜々がパンケーキを切る手を止めた。
「ちょっと待って。まさか、別れる前提の告白なの?」
焦った表情をする菜々。
「それ以外、ないと思うんだけど……?」
私の返答に菜々は眉間に皺を寄せる。
「ひとりで暴走する前にちゃんと桔梗さんに話を聞きなさいよ! 元々、好きになったら告白してって言われてたんだから!」
菜々の剣幕に驚く。
「だって結果が同じなら……」
弱々しく返事をする私。
「わからないでしょ! どこまで恋愛音痴なのよっ。いいっ? ちゃんと桔梗さんの話を聞くのよ! 間違ってもあなたが好きです、だから別れましょう、みたいな馬鹿みたいなこと言わないでよ!」
思っていたことを言われて瞠目する私に、菜々は冷たい目を向けた。
「どれだけ自己犠牲大好きなのよ! 恋愛以外は冷静沈着に状況判断もできるくせに! 何で恋愛だけこんなにダメダメなの、莉歩は! 先走りも思い込みもだめだからね!」
「う、うん……」
菜々の強い口調に圧倒されて頷く。
「好きなんでしょ? 本気で、桔梗さんが。別れたくないんでしょ?」
菜々の静かな声が耳に響く。
胸が痛い。
温かいはずのカフェオレボウルを持ち上げる指が震える。
好き。
ただそれだけのことを伝えるのがこんなに難しいなんて。やっぱり私は恋愛に向いていない。
真剣な口調の私に菜々がパンケーキを切る手を止めた。
「ちょっと待って。まさか、別れる前提の告白なの?」
焦った表情をする菜々。
「それ以外、ないと思うんだけど……?」
私の返答に菜々は眉間に皺を寄せる。
「ひとりで暴走する前にちゃんと桔梗さんに話を聞きなさいよ! 元々、好きになったら告白してって言われてたんだから!」
菜々の剣幕に驚く。
「だって結果が同じなら……」
弱々しく返事をする私。
「わからないでしょ! どこまで恋愛音痴なのよっ。いいっ? ちゃんと桔梗さんの話を聞くのよ! 間違ってもあなたが好きです、だから別れましょう、みたいな馬鹿みたいなこと言わないでよ!」
思っていたことを言われて瞠目する私に、菜々は冷たい目を向けた。
「どれだけ自己犠牲大好きなのよ! 恋愛以外は冷静沈着に状況判断もできるくせに! 何で恋愛だけこんなにダメダメなの、莉歩は! 先走りも思い込みもだめだからね!」
「う、うん……」
菜々の強い口調に圧倒されて頷く。
「好きなんでしょ? 本気で、桔梗さんが。別れたくないんでしょ?」
菜々の静かな声が耳に響く。
胸が痛い。
温かいはずのカフェオレボウルを持ち上げる指が震える。
好き。
ただそれだけのことを伝えるのがこんなに難しいなんて。やっぱり私は恋愛に向いていない。