私の最後の夏の思い出
久しぶりに三人で食べた夜ご飯は、私の心に何か温かい感情をくれた。
食べ終わったころ、だんだんと日が沈んできた。

「わぁ、綺麗……！」

真っ赤に燃える太陽が木や大地、雲を紅く染める。隣をみるとおじいちゃんと目が合った。

「綺麗だろう。ほら、上も見てみろ。都会じゃ見れないもんが見えるぞ」

ニヤッと笑いながら上を見るおじいちゃんにつられて上を見る。

「っ、すごい！」

紅く染まった先からだんだんと暗くなり始めた大きな空に、小さな星がたくさん見え始めた。
数えきれない数の星を見つめていると、自分の考えている人生のことなんて、本当にちっぽけなことに思えた。

私が住んでいるところとは全然違う澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。
そういえば、久しぶりに深呼吸をした。
家にいた時は息が詰まって窒息死しそうだったのに、支えが取れたかのように心が軽くなった。

来てよかった、って、心の底からそう思えた。



「ゆりちゃん、おばあちゃんと一緒に、お風呂入ろうか。お背中洗ってあげるから。」

お風呂セットを持って目を細めながら笑うおばあちゃんにうん、と頷いてから自分もお風呂に入る準備をする。
誰かとお風呂に入るなんて久しぶりだ。
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