Deal×Love
「そうか」


ズキッ……


車の方から関心の無さそうな声で放たれた言葉に胸が少し痛い気がして、私は痛む胸に手を当てながら言葉を出そうとした。


「わ「流石に兄弟に靡くのは世間的なこともあるが、俺達の契約には無かったからね」


『私はそんな気はないです』と言おうと口を開けたら、海さんからまたあっさりと言葉を放たれて。


「離婚するまでバレないように出来るなら、君の好きにすれば良い」


海さんは私の言葉すら聞く気は無い……

そう思うと一層胸のズキズキとした痛みが増す。


「二人とも気を付けて帰って」


海さんは微笑んでそう言うと、車は走り去って行った。

私は胸が苦しいせいか、ただ呆然と見送るしか出来なくて。
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