Deal×Love
「明日は分かっているな、椿」

夕食中、父が言った。
明日はお見合いの日なのは分かっているから、一々念を押さなくて良いから。

美味しかった夕食が一気に不味くなった。
まだ少し料理が残っているのに。
もう食べる気力が無くなったわ。

「分かってますから。失礼します」

私は苛々を抑えながら席から立ち上がり、部屋へと向かった。

早足で廊下を歩き、部屋に入る。
そのまま真っ直ぐベッドに向かい、その上に乗っているウサギのぬいぐるみを掴むと、肩を思いきり振り上げて壁に勢いよく投げつけた。
ボスッ!と壁に当たるとポスンと下に力なく落ちた。
そして次はベッドに上り、そこに立ち上がると思いきりジャンプ。
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