Deal×Love
「帰ろ?」

海さんの背中を呆然と見ている私の背中に洸君が言った。

海さんは私の告白を聞いた後、あっさり「ごめん」と言うとすぐに踵を返して歩き出したから。

「ごめん……一人で帰る……」

私は振り返られず地面を見ながら返事をした。

「危ないし」

「でも私の好きな人は海さんなの」

「分かってる」

「でもーー「分かってて俺は来たわけ」


私はそこから突き放せなかった。

だって洸君の気持ちが分かるから。

相手が自分を好きじゃないって分かっていても、好きな人といたいって気持ち……


「手、繋いでいい?」

「ごめん……」

「分かった」

「……前は強引に繋いで、しかもキスまでしてきたのに何で今は訊いたの?」
< 181 / 424 >

この作品をシェア

pagetop