Deal×Love
洸君はタクシーを拾うと私をマンションまで送ってくれた。


「今更だけど、ドレス似合ってる」

タクシーが走り去ると洸君が私を見ながら優しい顔で言った。

「ありがとう……」

ストレートな言葉になんだかむず痒くなって俯く私。

「化粧が取れてなかったらもっと綺麗だっただろうな」

そう言われて普段化粧なんてしないから気にしてなかったが、泣きまくったから顔が大変なことになっていそうだと今更気付く。

「最後に訊く。俺の家に来るか?」

洸君の真剣な声が耳に届いた。

海さんに次どんな顔をして会えば良いのか分からない。

でも私の家は此所だし、私が好きなのは海さんなの……


「……ごめんなさい」

私は俯いたまま頭を下げて断った。

するとすぐにクスリと笑う声が聞こえた。
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