Deal×Love
「あれ?椿指輪してる」

アリサが左手の薬指の指輪に気付いた。

「これ、海さんが一応婚約指輪にって用意してくれたの」

「でもずっとつけてるの?」

「……」

「ごめん、外せないね」


彼を好きだと自覚した。
私達はすでに夫婦だが、関係は偽物で、お互いを干渉しないことをルールにした。

彼が私を見ることはない。
そう分かっていても、偽物の婚約指輪を外せない私。

だって偽物でも海さんが付けてくれたから。

あぁ……片想いって、ツライ……。


「椿、私、もう少ししたらバイトいくからね」

苦しくなっていると、アリサから飛び出した言葉。

「え?バイト?」

首を傾げる私。

「洸と一緒にファミレスでバイトすることにしたの!」

「ふぁみれす?」

「そ!知らない?」
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