Deal×Love
海さんは私の目を見据えたまま言うと、携帯から耳を外して画面を指でスライドさせた。
どうやら電話を切ったようだ。

私は先程の台詞が信じられなくて、目を見開いて固まったまま。


「ごめんね。これで二度と連絡は来ない」

海さんは私から視線を外さずに携帯を置いた後、笑顔で私に言った。

私は未だに固まったまま。


「俺があんな提案した理由、教えてあげる」

固まったままな私に構わず海さんは続ける。


「椿が可愛いって本心から思ったから。君の一途さに、君のことを好きになれるって思ったから」

海さんの言葉、優しい表情に、私の心臓は喜びに打ちひしがれるように飛び跳ねている。

だって海さんから物凄い言葉を頂いた。

今、人生で一番幸せな時間を過ごしていると思う。


「ごめんね、食事を中断させて」

そう言うと海さんはお味噌汁の御椀を掴んで啜った。
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