Deal×Love
「弥生……?」

そして海さんが突然溢したその名前に私は固まる。


弥生さん……何の用なの……?

海さんの表情を窺うと、明らかに動揺したように目が揺れている。


海さんを捕られたくない……

海さんは私の夫なの……!


私は海さんの空いていた手に手を伸ばすと、ギュッと握る。

海さんの手を自分から初めて握った。


「海さん、行きましょう……!」

私は携帯の向こうにもわざと聞こえるように大きい声を出して伝えた。
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