Deal×Love
「最高の夫を見つけてきてやったんだ。感謝してもらいたい程なのにな」

と、お気に入りのソファに肘を付きながら傲慢な態度で笑みを浮かべる。


暴力はいけないけれど、殴ってやりたい。


「椿……ごめんなさい……」

拳を握りしめながらも何とか怒りを堪えてリビングから出ると、廊下で立っていたお母様が私に頭を下げた。


我が本多家は父が三代目で、布団などを扱う寝具店を経営している。
この家には男子が居ない。
跡継ぎを産めなかった母を父はいつも責めて、私にも八つ当りをしていた。
その度に母は父に謝った後、私にも謝る。
女の子でごめんね、と。
それが今日は皮肉にも反対の理由になった。
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