Deal×Love
「謝らないで、お母様。それに頭を上げて下さい」

私の言葉に顔を上げた母の瞳には涙が溜まっていた。


「桜のことを出されたから、貴女は頷いてくれたのよね……。十六歳の桜に行かせないように……」

「お母様、気に病まないで下さい。私はどうにかしますから」

母を心配させまいと笑顔で返すと、


「お姉様……私のせいで……」

後ろから母に似た細い小さな声が飛んできた。

振り返ると妹の桜が申し訳なさそうな顔で立っていた。
どうやら私達の会話を聞いて状況を理解したらしい。

「桜、貴女は気にしないで」

笑顔でそう声をかけるが申し訳無さそうに眉を下げる桜。
< 6 / 424 >

この作品をシェア

pagetop