Deal×Love
あの父なら、いつかは私を政略結婚をさせるんじゃないかとは思っていた。

本多家に産まれてきた宿命なんだと思う。

あの人はいつも仕事ばかりで、父と出掛けたり、笑いあったりした記憶は一切ない。

一言目には会社。

自分の会社を守ることしか考えていない。


私は桜の背中に手を回して、花瓶や絵画に焼き物が飾られている長い廊下を歩いていく。
怒りを鎮めるために一個くらいぶっ壊してやりたいけれど、桜がいるから我慢我慢。


「桜が気に病むことはないから」

桜の部屋の前で私は桜が安心するように笑ってみせた。


「お姉様……」

それでも桜は未だに罪悪感の残る顔。

私は桜の細くて艶やかな髪に手を伸ばして落ち着くように優しく撫でると、やっと桜の顔が柔らかくなってくれた。
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