あけぞらのつき
序章
怨み事を聞かされるのは、ツラかろう?
私が望みを叶えてやる。
願う者たちの想いを満たしてやれないのは、悔しかろう?
私がお前に、力を貸してやる。
今度はお前が呪う番だ。
暗がりの中、きゃらきゃらと可笑しそうに声を立てて、それが笑う。
欲しければ、くれてやる。さあ!
笑い声は一際大きくなり、瞬間、体が軽くなった。そこに自分を縛り付けていた鎖が、解けたような気がした。
呪いは、解き放たれた。
声はそう言って、暗闇の中に溶けて消えた。