あけぞらのつき
「早く目覚めないと、あの女、死ぬぞ?」
スクリーンには、恐怖に怯えた女の顔がアップで映し出されている。
「相変わらず、嫌なヤツだな」
遠野は、関心の無いように言った。
小さな蠢くモノたちが、彼女のカラダに金属片を突き立てた。
カラダに穴をあけるように、肉がえぐり出される。
悲鳴を上げるために開かれた口の中に、一匹が潜り込んだ。
声帯を切られたのだろう。彼女の唇からは、悲鳴の代わりに鮮血が吹き出した。
「手遅れ、だな」
「最後まで見たら死ぬ夢じゃない。標的にされたら逃げられない悪夢だ」
ミサキは裸足の足元に転がってきたそれを、拾い上げた。
瞳の中には、小さな金属片が突き刺さっている。それが最後に見たものは、なんだったのか。
「今日の戦利品だ」
ミサキは拾った眼球を、遠野に向かって投げつけた。