死の代償
三
「うんめい?」
美雪は、そのあまりにも陳腐な響きに、思わず聞き返してしまった。
「そう、運命です。人に限らず全ての生命の終焉は運命によって決まっているのです」
「だれが決めてんのよ、あんた?」
「わたくしはその係じゃありませんよ。
それは魂を生命塊から運んでくるものの仕事です。
まあ、あちらはよく天使なんて呼ばれてますけど、仕事が違うだけでわたくしと同じ存在です。
わたくしたちはこの次元の時間の概念の外にいますので、魂を肉体に移すときに周囲を時間ごと眺めて、適切と思われる基礎的な人格と運命を刻んでから封入するのです」
「はにゃ?」
「つまり、人は生まれたときには死ぬときが決まっているのです」
「でも、でもでもでも、運命って自分で切り開くものじゃないの?」
どことなく納得がいかない美雪は聞いてみた。
「違いますよ。すべてはわたくしたちの予定調和の範疇での事象ですからね」
「でも、偶然って言葉もあるじゃない」
「言葉はね。
でも、偶然というものはないんですよ。
すべての事象は必然で成り立っているのです。
偶然飛行機に乗り遅れて、その乗り遅れた飛行機が偶然事故を起こして墜落するのも、すべて運命によって決めていたことなのです。
もちろん、あなたたち人間から見れば偶然かも知れませんが、何度も言いますように、わたくしたちはこの次元の時間の概念の外にいますので……」
美雪は、そのあまりにも陳腐な響きに、思わず聞き返してしまった。
「そう、運命です。人に限らず全ての生命の終焉は運命によって決まっているのです」
「だれが決めてんのよ、あんた?」
「わたくしはその係じゃありませんよ。
それは魂を生命塊から運んでくるものの仕事です。
まあ、あちらはよく天使なんて呼ばれてますけど、仕事が違うだけでわたくしと同じ存在です。
わたくしたちはこの次元の時間の概念の外にいますので、魂を肉体に移すときに周囲を時間ごと眺めて、適切と思われる基礎的な人格と運命を刻んでから封入するのです」
「はにゃ?」
「つまり、人は生まれたときには死ぬときが決まっているのです」
「でも、でもでもでも、運命って自分で切り開くものじゃないの?」
どことなく納得がいかない美雪は聞いてみた。
「違いますよ。すべてはわたくしたちの予定調和の範疇での事象ですからね」
「でも、偶然って言葉もあるじゃない」
「言葉はね。
でも、偶然というものはないんですよ。
すべての事象は必然で成り立っているのです。
偶然飛行機に乗り遅れて、その乗り遅れた飛行機が偶然事故を起こして墜落するのも、すべて運命によって決めていたことなのです。
もちろん、あなたたち人間から見れば偶然かも知れませんが、何度も言いますように、わたくしたちはこの次元の時間の概念の外にいますので……」