死の代償
「うん、八十九の大往生だったけど。それが何か関係あるの?」

「大ありです。

実はその三つの事象が起きた結果、あなたが何の理由もなく自殺しなければならなくなってしまったのです。

本来の運命の通りではなく」

「なによ、それ」

「ですから、そういうことなのです。

この三つの事象が直接の原因で、あなたの運命が揺らいで、突然自殺すると言うものに変化してしまったのです」

「と、するとなに?

美華姉の赤ちゃんが生まれず、

あっちゃんが失恋しないで、

田舎のじいちゃんがまだ生きてれば、

あたしは自殺しなかったって言うの?」

「そういう事です。

運命とはそういうふうに関わり合っているのです。

小さい揺らぎによる歪みがこの三つの事象で増幅されあなたの運命を変えてしまったのです。

まあ、今回の事の発端は、クレオパトラの鼻が三ミリ低かったのが原因なのですが」

 そこで言葉を切って、悪魔は呆れた顔をした美雪に気付き、どうしたのかと聞いた。

「そりゃあ、呆れるわよ。どうして、クレオパトラの鼻の高さとあたしの自殺が関係してくるのよ」

「ですから、運命っていうのはそういうものなんですよ。

最初は小さな歪みでも、そこから派生した運命はいずれ大きなものとなるのです」

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