死の代償
「それで、あたしが自殺しないとどうなるわけ?」

「はい、運命の揺らぎの幅が収束して、やはり十年ほどで安定したものになります。

これは良いことです」

「いいことなの?」

「そうです。

さあ、ここまでお話して差し上げたのですから、もうむやみに自殺しようなどと思わないでください。

あなたの死の代償はとても大きいのです」

「うーん、なんだか実感が湧かないのよねぇ、そう言われても。

だいたい初めは死んだらどうなるのか知りたくて自殺しようと思ったのよね。

そしたら急に、あなたが出てきて……

話しだけじゃやっぱりよく判らないな、死んだ後って」

「仕方ないですねぇ。

まったく、わたくしの苦労をなんだと思っているのでしょうね、天使の方は。

いくらなんでもここまで探求心の強い娘にしなくても……」

「何の話をしているの?」

「いいえ、こちらの話です。

それより、そんなに死んだ後の実感がないのなら、教えて差し上げましょう。

正確には、あなたは今死んでいるのです」

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