死の代償
六
10年後、美雪は結婚していた。
そして、妊娠し、いよいよ出産だった。
だが、それは難産だった。
出産のときが近付くにつれ、母体の危険が高まった。
やがて出産、元気な男の子が生まれたが、それと引き替えのように、美雪は昏睡状態に陥り、そして……
「お久しぶりです」
そう声を掛けられて、美雪はゆっくりと振り向いた。
そこに、悪魔がいた。
なぜだか知らないが、それが悪魔であると美雪は知っていた。
なぜだろう。
それにここは……ああ、実家にいたときのあたしの部屋だ。
今は物置になってるはずで、この配置は高校の頃のだ。
確か、そう、10年前の……
「そうです。あなたがわたくしと初めて会ったときと同じ部屋です。
今度は本来のわたくしの仕事をしに参りました」
悪魔は丁寧にお辞儀した。
初めて会った?本来の仕事?
「ああ、そうか。じゃあ、あたしは死んだのね」
ゆっくりと記憶の扉の一つが開き、美雪はすべてを思い出した。
そして、妊娠し、いよいよ出産だった。
だが、それは難産だった。
出産のときが近付くにつれ、母体の危険が高まった。
やがて出産、元気な男の子が生まれたが、それと引き替えのように、美雪は昏睡状態に陥り、そして……
「お久しぶりです」
そう声を掛けられて、美雪はゆっくりと振り向いた。
そこに、悪魔がいた。
なぜだか知らないが、それが悪魔であると美雪は知っていた。
なぜだろう。
それにここは……ああ、実家にいたときのあたしの部屋だ。
今は物置になってるはずで、この配置は高校の頃のだ。
確か、そう、10年前の……
「そうです。あなたがわたくしと初めて会ったときと同じ部屋です。
今度は本来のわたくしの仕事をしに参りました」
悪魔は丁寧にお辞儀した。
初めて会った?本来の仕事?
「ああ、そうか。じゃあ、あたしは死んだのね」
ゆっくりと記憶の扉の一つが開き、美雪はすべてを思い出した。