死の代償
「アクマって、デビルとかデーモンとかの悪魔?それとも……」

「その悪魔でいいですよ」

 悪魔?悪魔だって?悪魔なんて、いるわけないじゃん。きっと変態さんに違いない。わあ、どうしよう。そうだ、大声を出して助けを呼ぼう。

「きゃーっ!だれか助けてーっ!」

 叫んだ後、数秒見詰め合った。

 沈黙。

 いつまで待っても助けらしい者は来なかった。

 なにか空しくなって、なんとなく腹立たしくなる。

「なによ、笑うなら笑えばいいでしょ、我ながら陳腐な台詞だと思ってんだから」

「いやぁ、別にそういうんじゃないんですけどね。一つ言わせて貰えば、わたくし、変態でも泥棒でもなくて正真正銘、悪魔と呼ばれているものです、はい」

「ほんとに?」

「本当です、それにだれも来ないと思いますよ。時間止めてますから」

 時間を止めている?それで時計が動いてないわけ?

 美雪は、それじゃなんで自分は動いているのだろうと思った。

 もしかして、自分が眠っていた間にこの人が部屋の時計を止めただけかもしれない。

「違いますよ」

「もしかして、あなた、頭の中のことが判るの?」

「そうです。脳波より微弱な脳電磁場を直接見れますからね」

 言っていることはよく判らなかったが、自分の心が覗かれていることは理解できた。

 すると、この人はちょーのーりょくしゃさんなのだろうか。

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