大人のあなたに届かなくて。


朝の会が終わったあと、楓と陸斗がもう一度私に謝りに来た。


「麻衣~、ほんとにほんとにごめんね!!バレない覚悟でやったんだけど…。」


「俺もちゃんと先生がいないか確認するべきだった。ごめん」

「もういいって!2人とも気にしないでよ!!祝ってくれてほんとにありがとね!!プレゼント、家に帰ってから見るね」


私がそう言うと、2人は顔を明るくして何度も「ありがとう」と言った。


「ねえ、それより今日私いつもより早く学校着いたのによくいたね?」


「そうだそうだ!!麻衣今日すっごく早くて焦ったよ~。けどなんとか間に合いました!」


「準備開始時刻約7時。」


「えっ!7時?!はや…い。ほんとにありがとう」


すると楓が思いついたような顔で言った。


「あっ!でもね、麻衣がいつもくる時間だと他の生徒がいるからクラッカーどうしようってことになってたから、誰もいない時間に来てくれてむしろよかったよ!先生にはバレちゃったけどね(笑)」


「そうなんだ!(笑)」


話が終わると、陸斗が男子グループに戻ろうとした。


「ねえ、ちょっと待って。ずっと言いたかったんだけど…」


すかさず声が出た。


「何?」


「えっとね…うーん…言いづらいんだけど…」


私がそう言うと、楓がキラキラした目と「えっ!!まさの今?!今ここで?!嘘!!」みたいな表情で私を見た。


楓ーーーー、ざーーーんねん!


「14歳初めてのお願いです陸斗様!私と楓のグループに入って下さい!」






「「は?」」


2人とも息ピッタリ(笑)


その数秒後、楓がテンパりながら言った。


「えっ?ん??まって、私の脳内を説明させていただきますとね?あ!この流れ、もしくは告白ですな?え?今ここで?ここで言っちゃう?!いいじゃんいいじゃんうおおおお!キタキタキタキタコレーーー!的な感じだったんですけど……何コレ?どういう状況?」


「どういう状況って… んー…まあ率直に言うと、青春的なグループにずっと前から憧れてるから私と楓のグループに入れってことかな。青春じゃない?!女子2人、男子1人って!」


私がそう言うと楓が少しショックな顔をした。


「なーーんだ…面白くなーい」


「面白くないってなんだよ!!私が憧れてんだよ!」


「はいはい、うるさい黙れ。ともかく、俺はお前らと一緒に学校生活を送るつもりねーから。ドラマの見すぎだ。その時間を勉強に使えアホ」


なっ!!何やこいつ!!!!


「え~、でも麻衣ちゃん寂しい」


「可愛く言っても無駄無駄。そんじゃ」


そう言って男子グループに戻っていった。



やっぱそうだよねーーーーーー、そうですよねーーーーー。


女子2人、男子1人というなんとも青春なグループなんてそう簡単にできませんよねーーーーーー。


ちょっとは期待してたんだけど…。(←誕生日だからお願い聞いてくれると思ってた)


………


いいじゃんねーーーーー??!?!


ドラマチックで!!!


なにがドラマの見すぎだよ!余計なお世話だボケ!!!


「麻衣(笑)どんまい(笑)でも私もちょっと憧れたよ」


「でしょでしょ?!なんやあいつ!もっと言い方あったよね?」


「まあね(笑)次、音楽だよ移動しよ(笑)」


「何楓も笑ってんだよー、笑うなよー」


「ごめんごめん(笑)」


お願い聞いてもらえない上にボロボロに言われたのは腹たったけど、2人から祝ってもらえたのは嬉しい!プレゼントも楽しみだな~


そう思いながら音楽室へと向かった


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