大人のあなたに届かなくて。
「3組の皆さん、初めまして。このクラスの担任になった、 内実 美紅(うつみ みく)です。英語担当です。1年間よろしくお願いします」
少しも口角を上げずたんたんと自己紹介を済ませた内実先生が今年の教科担任が書かれたプリントを配っている。
内実先生か……
大人しそう。
あんまり笑わなさそう。
厳しそう。
そんなことを考えていると、私のところにも教科担任が書かれたプリントが回ってきた。
私はそのプリントに書かれた教科担任の名前を順番に確認する
国語、百本先生……
「は?なんて読むのこれ…」
数学、松江(まつえ)先生…
社会、岩佐(いわさ)先生…
理科、石原(いしはら)先生…
英語……は担任か…。
トントン
突然、私の肩を後から叩かれた。
叩かれた方を振り向くと、そこには幼馴染の陸斗(りくと)がいた。
「えっ!陸斗?!同じクラスだったの??」
「は?お前今気がついたのかよ…。どうせぼけーーっとしてたんだろ」
「っさいな、で?何?」
「冷たーー…。この国語の先生の名前、なんて読むかわかる?」
「さあ?私もわかんないだよね…」
「ひゃくもと…?ひゃくほん…?」
「ぷっ、何それ笑笑 そんな名前だったら笑う笑」
「そこ!!何話してるの?!私語をつつしみなさい。」
私と陸斗の肩がビクッと上に上がった
やっぱり怖いじゃん……。
私は陸斗と目を合わせてふっと笑った