あいつとお前と俺。
1
雲ひとつない青空。

広い公園のベンチに腰を掛ける男性。





子供たちが無邪気に走り回る。

居心地の良い雑音を耳に、
彼は空を見上げていた。








「おじちゃん!どうして空見て泣いてんのー?」







ボールを追いかけ、
そばに来た子供に言われて、

ハッと頬に流れる涙に触れる。








「おじちゃんって、俺まだ30だぞ?ひでーな。
ちょっとあくびしただけ。

ほらっ!」








ボールを必要以上に遠くに投げ、
子供にブーブー言われながら、

涙を拭った。










「ずっとそばにいるからな。
見ててくれよ。」






誰にも聞こえないような声で、
つぶやいた。










そんな彼の、たったひとつの

思い出。
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