あいつとお前と俺。
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俺の名前は塚田 大地。

中学3年。

サッカー部キャプテン。

成績は別に良くも悪くもない。







暗くも明るくもないけど、

ベラベラ喋るのは苦手だし、

自分では無口な方だと思っている。






これといった特技も特徴もない。








強いて言うなら、







誰もが知る幼なじみ三人組の一人だ。









「おいっっ!涼子!それ俺のー!!!!」







来た来た。

まず、すごい形相で走り迫るこの男が

幼なじみの一人、

小岩 善。








「もー。良いじゃん、パンひとつでうるさいなー。」






善のパンを勝手に喰らっているこの女が

もう一人の幼なじみ、

新山 涼子。










「それは、俺がチャイム鳴って速攻売店まで走ってゲットした個数限定のプレミアムメンロンパンなんだぞ!!
パンひとつとはなんだ、パンひとつとは!!」







「あーもううるさい。大地、黙らせて。」







おい、俺を巻き込むなよ…。



「勝手にやっとけ。昼間っから元気だなー。飯くらい静かに食えよー。」








「大地ひでーよ!!涼子いっつも俺に買わせといてさぁ、こんな仕打ちねぇよー!」









善はバカで明るくて、友達も多い。

そして何より、うるさい。




涼子はいつも涼しい顔をして、

毒を吐く。

顔とスタイルだけは、

この小さい町には似合わない、

レベルの高い女子だ。








この3人はいつも一緒だった。


家も並んで隣と、向かい。

学校の行き帰りも、

昼休みも、

部活も休みの日もいつもだ。










異様に一緒にいるこの三人組には、

他の奴らからは不思議な組み合わせだと

入学当初から噂されていた。









何故、ここまで一緒に過ごすのか、

それには訳がある。


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