2番目に君を、愛してる。
ゆるくネクタイを巻き、Yシャツの袖を肘まで捲った青山先生に新藤さんは丁寧に挨拶をした。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。夏の兄の波木 秋(なみき しゅう)と申します」
「担任の青山です。今日はお忙しい中、ありがとうございます」
青山先生、嘘ついてごめんね。
上手く、騙されて!
「早速ではありますが波木さんの進路についてです。模試の結果もよく、この辺りの大学を狙えると思います」
偏差値ごとに並んだ大学のリストを広げる。
「波木さんはまだ志望学科は絞れてないようですが、お兄さんから見ていかがですか」
その答えは
妹の意見を尊重して決めたいと思います、
そう打ち合わせをした。
「妹の意見を尊重しますが、もう一歩踏み出した進路先はどうでしょうか」
あれ?新藤さん?
「さらに上を目指すということですか?」
「はい」
ちょっと、新藤さん!
話を長引かせないで!
文句を言いたい気持ちをグッとこらえる。
「塾に通うことを考慮すれば、可能だと思いますが…失礼ですが、波木さんは塾に行かれてなくて、これからも行くつもりはないと伺っております」
青山先生の言葉にこくこくと頷く。
「お兄ちゃん、志望校を変えるつもりはないよ」
お願い、新藤さん。
余計なことはしないで。