2番目に君を、愛してる。

「ありがとうございました」

青山先生にお礼を言って新藤さんは席を立つ。


内心ガッツポーズで、教室の扉を開けた。



「あれ、夏?これ夏のペンじゃねぇの?」



お互い、緊張の糸が解けたのだと思う。


青山先生がいつの間にか床に転がったシャーペンを拾ってくれた。



「…ナツ?」


新藤さんが青山先生を見た。



「あ、つい…失礼しました」


すぐに青山先生は頭を下げた。


青山先生の少し乱暴なもの言いも、生徒を呼び捨てにすることにも私は慣れている。

けれどたぶん、保護者の前で男性教諭が女子生徒を名前で呼ぶことはタブーだろう。


「青山先生、ありがと!行こう、お兄ちゃん」


ペンを受け取り、新藤さんの腕を引く。


新藤さんはもう一度、青山先生を振り返り、私に引っ張られるかたちで歩き出した。


あー、青山先生のバカ!
あんたがボロ出してどうするのよ。

うるさいご両親だったら、校長に告げ口されてるところだよ…

< 106 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop