2番目に君を、愛してる。

保健室に着くと新藤さんは優しく彼女をベッドに下ろす。

待機していた養護教諭に事情を説明する彼を入り口から見守る。


「運んで頂き、ありがとうございます」

「いえ」


年配の養護教諭は女子生徒に水を飲ませながら、新藤さんにお礼を言った。


軽く会釈した新藤さんはほっとした様子だった。



「あの、」


そして女子生徒は立ち去ろうとする彼を小さな声で呼び止めた。


「すみませんでした……」


「無理しないでね」


ここからでは新藤さんの後ろ姿しか見えないが、彼がどんな顔をしているかは容易に想像がついた。


嬉しそうに笑う女子生徒を見れば、彼が、優しく微笑んでいることなど分かってしまうんだ。




新藤さんが助けた女子生徒の名前は、私でも知っている。


阪本 絵梨佳(さかもと えりか)

スポーツ万能、3学年トップの成績。

学校一の美人だと誰もが認める、欠点なき少女だった。

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