2番目に君を、愛してる。
ヘアピンでも開けられそうな、いわゆる昔ながらの鍵穴。
それでも金目のものなどないと誰もが予想できるオンボロアパートへ泥棒に入る物好きはいないようだ。
扉を開けて、男を通す。
「お邪魔します」
無意識なのか脱いだ革靴を揃えるためにしゃがみ込もうとする男の背中を押して無理矢理に中に入れる。
柔らかい口調からも垣間見える育ちの良さ。
「どうぞ」
ボロくて家賃が安いだけじゃない。
1LDKという狭さだ。
今日は掃除したっけ?
まぁ、今更だよね。
「こっちです」
居間に通じる扉の手前で彼の腕を引いた。
「先にお風呂に入ってください」
「さすがにそこまでは…」
歯切れの悪い彼を無視して洗面所の扉を開けて、電気をつける。
少し目が眩んだ。
「今、タオル持ってくーー」
何気無しに男に視線を戻し、
そして言葉を失った。