2番目に君を、愛してる。
寝つきは良い方で1度目を閉じてしまえば、朝までぐっすりだ。
それなのに何故、たまたま目を開けてしまったのだろう。
何故、今夜だったのかな。
目を覚ますと、隣りの布団は空だった。
トイレかと思い、時計を見る。
深夜4時。
後2時間ちょっとでまた朝が始まるのだ。
そっと起き上がる。
新藤さんが枕元に目覚まし時計の代わりに置いている携帯がなかった。
電話?
冴えない頭でトイレをノックしたが気配は感じず、洗面所を覗く。
「もしかして外で電話してるとか?」
寝ている私に気遣って外にいるのなら申し訳ない。
風呂場の窓ガラスの鍵を開けた。
玄関の隣りに位置するお風呂の窓からは廊下が見える。
だから普段は風呂場の窓の鍵はしっかりとかけていて、開けることはほとんどない。
そっと、開けてみる。
もし外に新藤さんがいたら声をかけて中に入ってもらおう。
そう考えていたのに、聞こえてきた声は女性のものだった。
「冬樹、いい加減に戻ってきて」
「こういうことされて、俺が困るって分からない?」
「困らせたいの」
「相変わらずだな」
「元カノが変わらなくて安心した?」
ふふっ、と女性は笑った。
2人は玄関の前でひそひそと話しているようで、こちらも耳を澄ませる。
窓ガラスを開けたほんの3センチの隙間から、聞いてはいけないものを聞いている気分になった。