2番目に君を、愛してる。

きっと私も、新藤さんの甘い言葉に騙されていたい女のひとりなのだと思う。

けれど敢えて夢から覚めるような毒を吐いた。


「あなたの心に最も近いのは、1番目に愛してる方でしょう」


「……」


珍しく新藤さんが言葉に詰まった。


「君の達者な口を無理矢理にでも塞ぎたい気分だよ」


「窒息しない程度に…」


「息もできないくらい、情熱的な口づけでどう?」



新藤さんが手を伸ばす。

狭く逃げ場のないベランダ。

冷たい手が、私の唇に触れた。


上唇と下唇の間にグッと人差し指を差し込まれ、
彼の爪が刺さる。


そして


彼の指と、私の舌が、


ーー触れた。


< 159 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop