2番目に君を、愛してる。
意図が分からなくて固まった私の肩を、彼は空いている方の手で掴んだ。
強い力で肩を抱き寄せられた拍子に、彼の指が唇から引き抜かれる。
「なっちゃん。俺のことを嫌いになるかーーそれか早く大人なって」
「……い、今の、な、なんですか………!」
やっとの思いで声を上げれば、彼の胸に抱き寄せられる。
「さぁ、なんだろうね」
「こ、この状況は??は、ハグでしょうか?」
「…そう、ハグ。外国人がよく挨拶でするやつだね」
「なぜ今、ハグを?」
「おやすみの挨拶かな」
「挨拶……」
後ろから抱き締められて眠ったあの夜とは違う。
だって今夜は2人きりであるし、顔と顔が近い。
それこそ顔を上げればキスできる程に、近い。
新藤さんの身体にすっぽりと包まれ、同じ柔軟剤の香りを確かめられる距離にいる。
「新藤さん…」
背中に回された手に応えるように、そっと新藤さんのシャツを掴んだ。
今までの女性もたぶん、こうやってなだめられ、"まぁいいか"と妥協してきたのだろう。
想像以上に彼の温もりは心地良く、なにも教えてくれないことへの追求の気持ちがだんだんと薄れていく。
追求することで、この温もりを失うくらいなら、なにも知らなくて良いとーーそう思ってしまった。