2番目に君を、愛してる。

並んで歩く。
外に出る時はいつも車で、駅まで一緒に歩くなんて初めてだ。


電車に乗って、鎌倉に向かう。
家族との思い出の場所に行きたいと告げるとそれ以上、新藤さんは詮索することなくただ笑って頷いてくれた。


私へのご褒美だと、切符代すら受け取ってくれない。何度言っても折れてくれないことは分かっているので、今日は思いっきり楽しもうと決めていた。

いつか就職したらお金は返せば良いよね。



ボストンバッグを網棚に置き、ひとつだけ空いている席を私に譲ってくれた。


「色々とすみません」


「そこはお礼を言うところでしょ」


「新藤さん、私といる時はたくさん我慢してそうで。その内、嫌気が…」


電車で話すような内容ではないかもしれない。


「だから今日は新藤さんにもリラックスして欲しくて」


「ありがとう」


お礼を言ってくれたが新藤さんの心に響いてはいない気がする。

私を守るため刑事の義務として、新藤さんは同居を始めた。
今日だけはその義務を捨てて、楽しんでくれたら良いのに。一緒にはしゃぎたい。


私だけはしゃいでも、全然楽しくないよ…。

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