2番目に君を、愛してる。

顔を上げる。

先程の新藤さんはポーカーフェイスを崩して私の名前を呼んでくれたが、

「ずっと、傍にいて」そう告げられた彼は、いつも以上に優しく微笑んでくれた。


甘えるな。
兄が傍にいてくれないのなら、私は、ずっとひとりで生きていく。


「変なことを言ってしまいました。忘れてください。少し動揺してて」


犯人が見つかれば、新藤さんは私から離れることが自然だ。
彼の人生を縛ってはならない。


「さぁ、行きましょう」

今度は私が先陣をきって入り口に向かう。


「なっちゃん、」


小走りで隣りに並んだ新藤さんは、真っ直ぐに私を見た。



「俺はずっと君の傍にいるよ」




全ての音が消えた。

新藤さんの心地よい声だけが耳に届く。



「君が望むかぎり、傍にいるから安心して」



それには答えられなかった。

すごくすごく嬉しかった。

けれど約束してはいけないんだ。

優しさという同情で新藤さんを縛り付けることだけはしたくない。

< 170 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop