2番目に君を、愛してる。
広い水族館を回る。
兄とは館内を走り回り、大声で騒いでいた。
私も成長したのか、隣りにいてくれる人が新藤さんだからか、今日はひとつひとつの水槽をじっくり見て回った。
魚の生態などの説明が書かれたパネルも読みながら、ゆっくりと水槽を眺める。
「大ざっぱな兄は説明書きとか苦手で、前に来た時は魚の名前すら分からずに見てました」
「ごめん、退屈だった?」
「まさか。すごく楽しいです」
新藤さんから水槽に視線を向ける。
群となって泳ぐ小魚は綺麗だ。
「ここで家族と過ごした時間はかけがえのない私の大切な思い出です。でも今日、新藤さんが連れてきてくれて、その楽しい思い出が上書きされました」
「…俺の人生で、君といる時間だけが楽しい時間だよ。君は俺に傍にいて欲しいと言うけど、君が必要なのは俺の方なんだ」
「新藤さん…?」
視線を水槽に向けたままの新藤さんの横顔は、なぜかとても哀しそうに見えた。
「次、行こうか」
すぐに逃げるように背を向けた新藤さんは、私からの追求を拒絶しているようでなにも聞けなかった。
私がもう少し大人であったなら、あなたは話してくれたのだろうか。