2番目に君を、愛してる。

半分くらい回ったところで新藤さんが休憩しようと声を掛けてくれた。
お昼にもちょうどいい時間で館内のカフェに入る。

海の生き物の形をした可愛いらしいパンが並び、遊び心満載だ。

先に席を確保して待っていてくれている新藤さんの分も選ぶ。

一緒に暮らしていても新藤さんの好き嫌いはよく分からない。相変わらず彼はなんでも美味しいと言ってくれるから、好物すら把握できていない。

無難なチョコレートパンとクリームパン、そしてコーヒーを2つ注文する。
先ほど新藤さんから預かったお財布が腕の中にある。

以前ネックレスを買ってもらった時と同じシチュエーション。あの時、免許証を盗み見てしまった。

もう二度としない。
私が彼を信用していないと勘違いされ、悲しい思いをさせることは避けたかった。

男物のお財布からお金を取り出す。
この間と同じ位置に免許証が入っていた。

キャッシュカードも見える。
お財布を預けてくれたことが彼から私への信頼の証だというのならもう二度と過ちは犯さない。


トレーにパンとコーヒーを乗せてもらい、新藤さんの元に戻ると窓際の席で頬杖をつきながら海を見ていた。

その表情は海を見て感動しているというより、なにか思いつめているような切ない雰囲気をまとっている。


1番目に好きな人のことを、想っているのだろうか。

彼の好きな人は、どんな女性なのだろう。

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