2番目に君を、愛してる。
突然、右肩に衝撃が走る。
「あっ、」
何かにぶつかった拍子に1杯のコーヒーが倒れて右手にかかる。危うくトレーを落としそうだったが、辛うじて防ぐことができた。
「あ?邪魔なんだけど」
私にぶつかってきた女の人に思い切り睨まれて、反射的に言い返せなかった。
確かにぶつかってきた女の人は悪いが、道の真ん中で新藤さんに見とれていた私も悪いだろう。
「…ごめんなさい」
「ちっ」
トレーでは受け止め切れないコーヒーが床にポタポタと垂れる。
「あんたのせいで服が汚れたんだけど。弁償しろよ」
文句を言ってくるその女性は、顔が小さく目鼻立ちもはっきりしていてモデルのようだ。とてもじゃないがその顔から暴言が飛び出てくるとは予想し難い。
胸元が空いたTシャツからは胸の谷間がはっきりと見える。その大きさは羨ましいくらい。
Tシャツには確かに数滴のコーヒーの染みができていた。
「ごめんなさい…」
「弁償しろよ」
ボストンバッグにお財布が入っているが、新藤さんに預けている。
腕に挟んでいる彼のお財布は無事だから、コーヒーで汚れた手で触りたくはない。
「えっと…」
「連れが失礼なことをして申し訳ない」
頭上から聞こえた声に、心からほっとした。