2番目に君を、愛してる。
新藤さんは前を見たまま口を開いた。
「あの台風の夜、君と出逢ったことは本当に偶然だったし、犯人を尾行していて怪我を負ったことも偶然だった」
どこまで新藤さんの話が本当なのかは分からないが、最後まで聞いて判断したい。
「けれど君の家で、君の名を知った時、この偶然を利用することに決めたんだ。まさか俺が追っている波木秋の妹と知り合えるとは思ってなかった。その翌日に犯人が逮捕されたことを知りながら、君の護衛として俺は近付いた」
「犯人は今日捕まったんじゃ…」
「君を狙う犯人なんて最初からいないよ」
私たちの共同生活は、
新藤さんを傷付けた犯人に
私が新藤さんを助けたところを見られたかもしれないという理由で、始まったものだ。
本来であれば、
私と新藤さんが出逢った翌日に同居は解消されていたのだ。
そこまでしてあなたは、
「兄に近付きたかったから…」
「そうだよ」
言い訳もせずにあっさり認めた。
「俺はどうしても波木秋と話さなければならなかった」
真相を知りたい反面、耳を塞ぎたい衝動に駆られた。