2番目に君を、愛してる。
それでも新藤さんは淡々と明かしてくれた。
「以前話したと思うのだけど、俺にはずっと憧れの女性が居てね。彼女は俺の兄を愛していて、同じ職場で働いていた。それでも俺は彼女を想い続けた。そんな中で飛び込んできた事件が、兄が彼女と揉み合いになり屋上から落ちたという信じられない内容だった。彼女は容疑を認めていたけれど、俺は疑い、その事件現場に居合わせた波木秋から話を聞くことにした」
彼女ーー新藤さんの、1番目に愛している女性だ。
「波木秋は……事情聴取で自殺しようとした彼女を兄が庇ったと証言した。けれど俺は偽りの内容であると判断して再度、話を聞こうと訪ねたところ君の兄は姿を消していた。何日も波木秋の部屋の前で張り込みしても現れず、落胆している時にーー君に出逢った」
感情の一切込められていない説明に下を向く。
「しかし君はお兄さんの話をよくするけれど、姿を消したという事実を話そうとはしなかった。だからーー真相を確かめるため、俺は、君に優しくしたし、時に甘い言葉も吐いたよ。君が俺のことを気に入ってくれたなら、信用してくれたなら、全てを打ち明けてくれるだろうと目論んだ」
歯を食いしばる。
新藤さんがなにを言いたいのか、やっと分かった。
「どうだった?優しくて頼りになって、大人で、まるで君に好意を寄せているような俺の立ち振る舞いに、心は動いたかな」
愚問だ。
あなたの思惑通りになってるよ。
優しい言葉をかけてもらい、
抱き締めてもらい、
2番目でも好きだと言われて、
確かにこの心は動いた。